労働災害の申請や損害賠償は、誰に依頼するべき?

1 労働災害(労災)の申請は誰に依頼するべきでしょうか。

申請については、会社が代行したり、会社が依頼している社会保険労務士が代行したり、あるいは本人が行なったりすることが比較的多いかもしれません。

また、労災問題を得意とする弁護士であれば申請手続を含めて依頼できることが一般的ですから、弁護士に依頼するケースもあります。

 

どの手段で申請をすることが正解ということはなくケースバイケースです。

会社との関係や怪我の状況等を考慮しながら、どの手段を選択することがベストであるのかを慎重に見極めます。

 

その際の1つの大事な視点としては、何よりも本人にとって最も負担や不安が少なくなる方法を選択することが大切だということです。

 

本人にとって最も負担や不安を少なくするためには、労災申請から会社に対する賠償請求まで1人(1事務所)の専門家に依頼して、最初から最後まで一貫したフルサポートを受けることが最も効果的であると考えられます。

そのため、労災保険だけではなく、会社からも補償を受けることを視野に入れるべき事案については、労災問題を得意とし、かつ労災申請手続についても対応可能な弁護士に依頼することが望ましいものと考えられます。

 

なお、労災の発生について会社に主な責任があるケースでは、会社や会社の社会保険労務士といった会社側の人にすべてを委ねることはおススメできません。

 

例えば申請の際に提出する書類には労災の発生状況について記載をする欄があります。会社が会社の責任について否定的な立場であればどのような記載をする可能性があるでしょうか。

先々問題となりうることを念頭に置きながら、味方となる専門家に依頼することが肝要です。

2 損害賠償の請求は誰に依頼するべきでしょうか。

損害賠償の交渉を依頼するのは弁護士が望ましいです。

 

弁護士は法律問題に関するスペシャリストです。交渉は日常的に行っていますし、交渉が決裂した場合の裁判の代理権限も有していますので、裁判を見据えた交渉が可能になります。会社としても弁護士から請求を受けると、裁判をされるリスクを考慮して対応方針を考えますので、少なくとも極端に不合理な対応をされる可能性は低くなり、適切な解決がなされる可能性は高くなります。

 

また、弁護士は裁判手続についても熟知しています。どのように証拠を収集するのか、どのような法令違反を根拠に責任を追及していくのか、どのように主張を構成し反論をしていくのか等について、裁判の状況をみつつ効果的な対応を選択していきます。

労災問題に強い弁護士に依頼することで、心強い味方として最後まで被災者をサポートし、適切な解決に向けて導いてくれることでしょう。