後遺障害等級の認定を適正化するためのポイント
労働災害(労災)で受傷し治療を継続したものの症状が残った場合(後遺症)、その症状が後遺障害に該当するか否かを判定してもらう必要があります。障害等級(第1級から第14級)認定の結果はその後の補償手続において補償金額を決定する基準となります。障害等級認定は非常に重要な手続きです。
後遺障害の等級認定は、労働災害で負った怪我・疾病の治療やリハビリなどを継続し、医師から症状の回復がこれ以上見込めないと判断され「症状固定」との診断を受けた後に始まります。
等級認定手続には、医師が作成した具体的な後遺障害の内容が記載された診断書(後遺障害診断書)が必要です。レントゲンやMRIなどを撮影している場合には、その画像も一緒に提出します。
その後、診断書の記載内容をもとに、労働基準監督署の担当者との面談、地方労災医員と呼ばれる医師との面談や検査を受けて、後遺障害に該当するか否か、該当する場合にどの程度の等級になるのか判断がなされます。
適正な等級認定を受けるためには、診断書の内容や添付する資料の選定が重要になります。診断書や添付する資料には、できる限り具体的に、細かな点まで症状について伝え、記載してもらうようにすることがポイントです。
後遺障害として認定された等級が1つ異なるだけで、等級認定後の賠償金に大きな影響を与えます。数百万円から数千万円単位の違いが生じる可能性すらありうるのです。
したがって、出来る限り十分な補償や賠償を受け取るためには、適切な等級認定が強く求められるのです。
この等級認定を適切に行ってもらうためにサポートをさせていただくのがわれわれ弁護士の仕事です。
弁護士には、①認定された後遺障害等級が適切かどうかの判断や、②さらに上位等級が狙えるときは審査請求(再審査請求)や訴訟を任せることができます。
後遺障害のことを見据え、適切な補償・賠償を受けることが出来るように、労働災害を得意とする弁護士に早期に相談することをオススメいたします。
後遺障害等級が認定された場合の給付内容は以下のとおりです。
1) 障害(補償)給付
後遺障害が残った場合に障害等級に応じて支給されます。
第1等級~第7等級の場合は給付基礎日額の313日~131日分の障害(補償)が年金として支給されます。
第8級~第14級の場合は給付基礎日額の503日~56日分の障害(補償)が一時金として支給されます。
これとは別に、社会復帰促進等事業として、特別支給金が上乗せ支給されます。
2) 障害(補償)給付の申請手続き
労働者災害補償保険「障害補償給付支給請求書・障害特別支給金支給申請書・障害特別年金支給申請書・障害特別一時金支給申請書」(様式第10号)に必要事項を記入し、所轄の労働基準監督署長宛に提出します。
申請書には、災害の発生状況や平均賃金等の必要事項を記入のうえ、①医師の診断書、②レントゲン写真等の資料を必要に応じて添付する必要があります。