建設業における労働災害

建設業に従事しているときに労働災害が発生したときのポイント

建設業は、労働災害が発生しやすい業種の1つです。

特に高所作業等の危険作業が多いこともあって、死亡災害の発生が最も多い業種とされています。また、墜落(特に屋根や屋上からの墜落)によって、頭部外傷、骨折等に至り、重篤な後遺障害が残るケースも多くあります。

ここでは、建設業に従事しているときに労働災害が発生したときのポイントについて解説します。

 

建設業は他の業種に比べて労災保険の適用関係が複雑です。

下請関係が、1次、2次、3次…と数次にわたることが多くあります。大掛かりな事業であればよく見られることです。そのため、労働災害が発生したときに、関係する会社が多く登場し、どのような手続を取るべきであるのか、労働者からすると一見分かりにくい状況となります。

 

この点については、基本的に、建設業については、ある建設事業を行なう際に、その事業の元請の事業主が労災保険に加入することになります。つまり、元請会社の労災保険を使用することになります。

 

ただし、例外として、下請会社の役員、事業主、一人親方等をされている方については、労働者にはあたりませんので、通常の労災保険とは異なり特別加入と言われる制度で別途加入しておく必要があります。

 

労災隠しの問題

次に、よく問題になるケースとして、被災した労働者を雇用する下請会社が、元請会社や注文主に気を遣って、労働災害が発生したこと自体を隠したり、事実を捻じ曲げて報告したりするといった事態が発生し、後々トラブルとなる事例があることも特徴的です。

いわゆる労災隠しの問題です。

 

当然のことながら、労働災害の発生は、正確に報告しなければなりません。会社等の関係者とよく話し合いをするとともに、作成される資料についてもしっかりと目を通しておくようにしましょう。

いずれにしても、このような事態に巻き込まれないように、まずは労働災害が発生したら、味方になってくれる専門家に相談することが重要となります。

 

建設業に従事しているときに労働災害が発生した場合、民事上の損害賠償請求を行なうことができる?

また、建設業に従事しているときに労働災害が発生した場合、会社に対して、安全配慮義務違反を理由として、慰謝料等の支払を求めるために、民事上の損害賠償請求を行なうことができる場合があります。

墜落・転落の場合、会社の対応として、(まさに事故が起きる局面では)会社として防ぐことができなかった、つまり会社に賠償責任はない、という趣旨の回答(明確には言わなくともそのようなニュアンスの回答)がなされることがあります。

 

しかし、建設業に従事している間に発生した事故の多くは、事前の十分な対策によって、発生自体を予防できるか、もしくは少なくともより大きな事故となることを防ぐことができるのが通常です。

 

例えば、安全帯や保護帽は着用していたのか、親綱の設置状況はどうだったのか、足場を組んでいたのか、雨天で滑ったということであれば安全靴の状態はどうであったのか、さらに言えば日頃の安全教育はどの程度なされていたのか…等々、危険作業をさせるにあたって会社側に求められる安全対策は多くあります。

 

労働災害の事案をよくよく検証してみると、これらの安全対策をしっかりと行なっていれば事故の発生や拡大を予防できたというケースは非常に多くあります。言い方をかえれば、このような日頃の安全対策の不徹底が会社の安全配慮義務違反を認定する一要因になりうるのです。

 

検証の結果、会社に安全配慮義務違反(責任)が認められる場合には、労災保険からの給付金以外にも、慰謝料等の請求が可能となります。その後、労働者側の落ち度(過失相殺と言われます)がどの程度あったのかを検討して、最終的な賠償金額が決まるという流れになります。

これらのことを一人の労働者として行なっていくことはとても大変なことです。特に重大な傷害を負った場合には、治療を受けながら、これらの手続を進めていくことは非常にストレスがかかります。

 

ラグーンでは、労災申請から会社との賠償交渉まで、解決に至るまでの手続を全面的にサポートいたしますので、まずはご相談されることをお勧めします。

一人親方の労災については、こちらのページをご覧ください。