業務中の交通事故で死亡した労災事故について、訴訟提起により解決した事案

事案の概要

 被災者 10代 男性

 職業 建設業

 被災内容 死亡 

依頼のきっかけ

 被災者は、建設作業の現場間を移動するために、同僚が運転する車両に同乗していたところ、同僚の過失と、前方を走行していた別の車両の運転手の過失が競合して、衝突事故を起こした結果、頭部外傷を負い、死亡するに至りました。

 ご遺族としては保険会社の対応について不信に感じる点があったため、ラグーンに来所されました。

交渉・訴訟の経緯

 保険会社側から提示された賠償金額(逸失利益及び慰謝料)は、裁判基準に照らして、不十分な内容であったため、受任後、速やかに訴訟提起を行いました。

 訴訟では、主に損害額(逸失利益及び慰謝料)が争点となりましたが、付随的に争点となった保険約款の適用関係等について当事者間で合意に至らなかったため、尋問を踏まえても和解による解決はできず、判決となりました。

 判決では、概ね当方の主張内容が認められ、被告側からの控訴もなされなかったため、これによって解決となりました。

弁護士の目 

 裁判では主に死亡慰謝料の金額が争点となりました。

 ご遺族が搭乗者傷害保険から1000万程度の保険金を受領していたため、この点を、死亡慰謝料の算定にあたって、どの程度考慮すべきかが争われました。

 結論としては、1000万円を損益相殺(ある給付によって損害が補填されたと判断される場合に、その給付の限度で賠償金額から控除すること)として控除することは認められないが、同金額を受領していることを考慮して、裁判基準に比べて慰謝料を一定程度減額(約400万)した金額が判決において認定されました。

 搭乗者傷害保険に加入していなかったことを考えれば、許容できる範囲の減額でしたので、依頼者としては判決の内容に納得をして、解決するに至りました。

 損益相殺については専門的判断が必要となるケースが多くあります。保険会社が主張する「損害からの控除費目」の妥当性については慎重に検討することが重要です。