現場作業中に落下物で指を負傷した被災者が、労災の給付のみで対応を打ち切っていた会社に対して損害賠償請求を行い、裁判外で早期解決ができた事案

事案の概要

 被災者 30代 男性

 職業 正社員

 被災内容 左手指の運動障害(用廃) 

依頼のきっかけ

 建設業に従事していた依頼者は、上から落下してきたハンマーが左手指に当たり大けがを負いました。手術をしたものの、左手指の一部が動かない状態となったため、労災手続で、12級9号の認定を受けました。

 依頼者は、労災以外の補償がなされないのか弁護士に相談をしたところ、相談した弁護士から労災保険金とは別に200万弱の支払いを受けられるはずと聞いたため、そのことを会社に伝えたものの、会社は「そんなこと関係ない」「労災保険からの支払がある」の一点張りで、それ以上に責任を果たそうとしませんでした。

 依頼者はもう一度、最初に相談した弁護士に相談をしようとも考えましたが、あまり労災事件に慣れていないような印象を受けたため、インターネットで労災に詳しい弁護士を探し、ラグーンに相談・依頼をされることになりました。

交渉の経緯

 本件は、他の労働者がハンマーを落としてしまい依頼者に怪我をさせたという点で、会社に責任(使用者責任)が認められることは明らかな事案でした。

 認定された等級は適切な内容であると判断できたため、ラグーンでは速やかに損害額を算定し、会社に対して損害賠償請求をしました。

 会社側は損害賠償責任保険に加入していました。そのため、すぐに保険対応となり、会社側も弁護士に依頼をし、弁護士同士の交渉になりました。

 会社側の弁護士は、当初、労災からの給付金の全額について、既払い金として請求金額から控除すべきとの主張をしてきました。

 しかし、法律上は、労災給付金でも特別支給とされるものは既払い金として請求金額から控除する必要はありません。また、労災給付金を請求金額から控除するのには特殊なルール(費目拘束)があります。例えば、治療費として労災から給付された金額を、実際に発生した治療費から差し引くことはできますが、費目が異なる慰謝料から差し引くことはできません。

 主にこれらの点について当方から反論をし、最終的には、早期解決を望んだ依頼者の意向もあって、労災保険金とは別に約450万円の支払を受けることで解決しました。

弁護士の目 

 労災から給付を受けた金額を、損害賠償の請求金額からどのようなルールに基づいて差し引くべき(損益相殺をすべき)であるのか、誤った理解をしていると依頼者にとって損失を与えてしまいます。これは弁護過誤にも相当するものです。

今回のケースでも、おそらくラグーンに相談される前にアドバイスをした弁護士は誤った理解のもと「200万弱」と回答したものと思います。差し引く(損益相殺)ルールについては、私が経験した限り、裁判官ですら誤った理解をしていることがあります。

労災事件に詳しい弁護士であれば、そもそもこのような間違いは発生しないでしょうし、相手方が法律上間違った主張をしているのであればそれに気づき修正を求めることができます。

 労災事件については、セカンドオピニオンとしてでも、労災に詳しい弁護士に一度相談をしてみることをお勧めします。